【大人の趣味】書道・習字の始め方

楽にする方法

子供のころの習い事の定番といえば「お習字」ではないでしょうか?小学校で書写の授業もあるので、日本人なら誰しも筆で文字を書いた経験があると言っても過言ではないでしょう。そのため、定年後のことを考え「大人の趣味」を模索される方の中には、「また書道・習字をやってみたい、できそう!」と、興味を持たれる方が多いと思います。

そんな中、
● 書道・習字始めてみたいが、なにから始めたらよいかわからない
● 子供のころ習字を習っていたので、また教室に通ってみたいけど、大人の習字教室ってどんな感じ?
● 生涯楽しめる趣味を持ちたい、書道なら年齢を重ねても上達できそう
と考えていらっしゃる方も多いと思います。

この記事では、書道・習字を始めてみたいけど1歩踏み出せない方が、気軽に筆を持ち始めてもらえるように、書道用具の揃え方や書道の学び方を解説していきます。

書道と習字の違い

まず、ここまでで、
「書道と習字、どう違うの?」
と疑問がわきませんでしたか?

イメージとしては、
子供は習字で、大人は書道。
初心者は習字で、上手になったら書道。
と、なんとなく感じてらっしゃる方が多いのではないかと思います。

辞書で調べると、習字とは「文字を正しく美しく書く練習」で、書道とは「毛筆によって書の美を表そうとする芸術」とありました。

したがって、大人の方が始めるときには、学ぶ目的によって習字と書道を使い分けるといいのではないかと思っています。
正しく、誰が見ても美しいと感じる文字を書けるようになりたい方は習字を、格好良い芸術作品を作れるようになりたい方は書道を、というような具合です。


私自身は、子供のころには習字教室へ通い、正しく美しい文字のお手本を見て真似する方法で、毛筆と硬筆に取り組んでいきました。大人になってからは、古典の臨書(昔の書家が書いた優れた書物をお手本に学ぶこと)を通して書道を学んでいます。
実際の教室では、習字と書道を特に区別することなく、習字から書道へ自然と進んでいくところと、初めから書道を学ぶところと、進め方に違いがありますので、目的がはっきりされている方は確認されるといいと思います。

書道用具の揃え方

まず、書道を始めるには用具が必要です。必要最低限の用具をご紹介すると、

● 筆
● 紙
● 墨汁
● 墨池
● 下敷き
● 文鎮

の6点です。これさえあれば、とりあえず書き始められます!

用具の中でも一番大事なのは筆です。筆によって書き味は大きく左右されますが、大きさや種類がたくさんあり迷いますよね。

まず大きさは、半紙に2字もしくは4~6字書いていける筆を購入することをおすすめします。具体的には、穂先の長さが4.5~5.5㎝ほど、筆軸の太さが1~1.5㎝ほどのものがよいと思います。

毛の種類もいろいろありますが、まずは扱いやすいと言われる、兼毫筆(けんごうふで)(または兼毛筆)を選ぶのがおすすめです。

値段は、1,000~3,000円くらいを目安にされるといいと思います。
100円ショップでも販売されていますが、安すぎるものは書きにくいことが多く、筆の扱いに慣れていない初心者の方には特におすすめできません。また高すぎるものも、自分の力がついていない状態では筆の良さを発揮できません。大事に使っていても消耗してしまうものなので、無理なく買いやすい値段のものを選んでみてください。

紙は、まず「半紙」を100円ショップで買ってもらうのが一番手軽だと思います。

「半紙」とは、書写の授業で使っていたもので、A4をひとまわり大きくしたくらいのサイズのもののことです。
紙の質も、上等なものを求めるときりがありませんが、とにかく「筆で書いてみる」ことが最優先なので、まずは安い紙を使って思う存分書いてみることが楽しみを感じるコツかなと思っています。

安い紙は表面がツルツルしているので書きにくいと感じるときは、ぜひ裏面を使ってみてください。
筆への抵抗が出て、「かすれ」も出やすく、少し質の良い紙で書いているような感覚を味わえます。

墨汁

墨汁(墨液)も値段がさまざまありますが、私は400~500mlで1,000~1,500円のものを使っています。学童用としてもう少し安い値段で売られているものもありますし、100円ショップでも入手できますが、安い墨汁は筆を洗う際に落ちにくく、筆に汚れがたまっていきやすいため、筆を傷めやすいという欠点があります。


とにかく手軽に始めてみたい、お試しでやってみたい、というときには、安いものから始めてみるのもいいと思いますが、筆を良い状態で長く大事に使いたいと思われるときには、さきほどの値段を目安に選ばれてみるのがおすすめです。

そしてさらにこだわりを持ちたくなってきたら、墨汁の種類を変えてみる、固形墨を使ってみる、と試していかれると、奥深い書道の楽しさを感じられると思います。

墨池

墨汁を入れる容器のことを、墨池(ぼくち)と言います。
蓋つきのプラスチック製のものを、まずは安いもので十分ですので揃えてみてください。Amazonでも500円前後で購入できます。

子供の頃に習字をしていたときには、硯(すずり)を使っていた方も多いかもしれませんが、硯は墨池に比べて重たく扱いずらいものになります。何より墨汁を使うのであれば、固形墨を硯ですることがないので、硯を使う必要性もありません。

墨池は、軽くて洗いやすいのはもちろん、墨汁がたくさん入れられる、筆をならす部分が大きいので筆に含ませる墨の量を調整しやすい、といったメリットがあります。また余ったときには、注ぎ口から墨汁の容器に戻したり、すぐまた使う予定があるのなら蓋をして保管しておけるところも便利です。

下敷き

下敷きも100円ショップで販売していますので、そこからスタートされるのもよいと思います。
ただ、ある程度厚みのあるもののほうが書きやすいことは確かです。私自身、厚さ1㎜ほどの薄い下敷きを特に不自由なく使っていましたが、3㎜前後厚みのあるものに変えてみたところ、もう薄い下敷きには戻れなくなってしまいました。薄いものは、机と密着せずに少し波打つような浮きが出てしまうので、厚いものから薄いものに戻すと非常に書きにくさを感じてしまいます。

下敷き自体がもともとそんなに高いものではないので、初めから厚みがあるものを揃えられるのも良い選択だと思います。私が購入したときも400円前後だったと記憶しています。

また、4文字や6文字用の線入りのものもあります。中心線や文字の大きさの目安がつくことが便利で、私自身は気に入って使っています。ただ線入りのものは、線が入っていることで字が枠に収まろうと萎縮してしまう、など悪い影響もあるため、先生によってはおすすめされないことも多いようです。

文鎮

文鎮は100円ショップで揃えましょう。
適当な大きさの重たいもの(石など)で代用してもいいかもしれませんが、やはり文鎮として作られたものが、棒状で大きすぎず持ちあげやすい形状になっていますので、まずは安いもので必要十分だと思います。

書道の学び方

次に、「どのように書道を学んでいくか」についてです。
ただ自分で好きなように書いて楽しむのもありですが、
「美しい文字を書けるようになりたい」「カッコいい書作品を書いてみたい」というような目標があるならば、学ぶことが必要です。

その方法としては
● 書道・習字教室に通う(対面)
● オンラインでレッスンを受ける
● 本で独学

の3つが考えられます。

教室に通う(対面)

一番一般的なのが、家の近くの教室に通う方法かと思います。

メリット
● 先生から直接指導を受けられるのでわかりやすい
● 決まった日時に通う必要があるので、さぼりにくく続けやすい
● 教室に通う他の生徒さんと交流できる
デメリット
● 自分の都合の良い日時に通えない
● 先生や教室の雰囲気が事前にはわかりにくい合わない時が心配
● 教室に通う時間がかかる

書道には団体、流派があり、先生がどの団体に所属しているかによって、教室で学べることが変わってきます。段級位や師範の認定は、各団体が独自におこなっているものになりますので、その難易度も団体によって大きく変わります。

大きくわけて、
美しい文字を習得するカリキュラムがある「教育系」
展覧会への出展を目指していく「芸術系」

の2つにわかれています。

「実用的な書を学びたい」「師範を目指して教室を開きたい」というような方は教育系、
「格好いい芸術的な作品を書いてみたい」「センスを磨きたい」というような方は芸術系、
というように、自分の目的と合った教室を探すことが大切です。

月謝やその他にかかる費用も教室によって大きく異なります。
入会金や教本代、作品展への出品料などが別途必要であることが多いですが、用具代も月謝に含まれていたり、用具を貸し出ししてくれて手ぶらで通える教室もあるようです。
また、展覧会への出展を目指す際には金銭面での負担が非常に大きくなります。芸術系の先生でも出展をすすめる熱量はそれぞれだと思いますので、そのあたりも自分の希望に沿った教室を見つけたいところですね。

間近で先生の筆使いを見られることが大きな魅力である書道教室。
体験レッスンや見学を受け付けている教室も多いですので、近所に通ってみたいと思える教室を見つけられた方、通う時間がとれそうな方にはおすすめです。

オンライン

最近ではオンラインでの書道教室がとても増えています。
zoomなどを使って先生から指導を受けられたり、自分が書いた作品を画像で送って添削してもらったり、毎月の課題を提出して段級位認定を受けられる、というように、対面での教室と同じように自宅で学べるようになりました。

メリット
● 通う時間をカットできる、自分の都合のよい時間にレッスンを受けやすい
● 動画だと先生の手元がよく見える、繰り返し復習できる
● 自分に合いそうな好みの先生を見つけやすい。ネット上でのやり取りなので、始めやすい、辞めやすい。
デメリット
● オンラインでのレッスン内容は教室によって違いがある
 (zoomなどで直接やり取りできるのか、提出した作品を添削する動画が送られてくるのか、講義スタイルの動画視聴なのか、など)
● ネットでのやりとりが苦手な方は、初めはとっつきにくい
● 対面での教室に比べると、先生や他の生徒さんとの交流は少ない

一番の魅力は、全国どこでも海外からでも、自宅にいながら自分の好みの教室で学べる、というところではないでしょうか。オンラインで直接指導が受けられる場合でも、時間や回数が限られていることが多いのがデメリットですが、先生と1対1でやり取りできるものであれば、先生の筆使いをじっくり見られたり、自分の書きぶりもじっくり見ていただけます。ですので、対面の教室よりも自分だけの濃い指導がいただける可能性もあります。対面と違い、画面越しのオンラインではわかりにくいのでは、と心配される方も多いとおもいますが、レッスン方法によっては対面よりもより充実した指導がいただけて上達が早いという評判もあります。

またネット上での関係性になるので、よい意味で「始めやすく辞めやすい」のがオンラインのいいところだと思います。たくさんのオンライン教室がありますので、自分が求めるレッスン内容に合う教室をじっくり吟味して、気になるところから気軽に始めてみてはいかがでしょうか?

本で独学

一番手軽に始められるのが、本で独学する方法ではないでしょうか。
誰にも気兼ねなく、好きな時に好きなように書けるのが魅力です。

さまざまな本がありますが、まず初心者の方におすすめなのが、「高校の書道の教科書」です。教科書というだけあって、基本的なことが簡潔にわかりやすく書かれていて、古典やかな、創作など、書道の基礎的なことが幅広く網羅されています。そして何より値段が安いのです!私はメルカリで中古品をお安く譲っていただきました。

本に加えて、独学する際におすすめなのが、YouTubeやインスタグラムです。

YouTubeで教えてほしいことを検索すると(例えば「書道 はね 書き方」)、親切に教えてくれる動画がたくさん上がってきます。また活躍されている書家の方や先生のチャンネルもあり、これだけで教室に通う必要なくなるんじゃないかと思うほど勉強になります。

インスタグラムでは、自分の書いた作品を投稿していくことで、自分の上達具合がわかりやすくなりますし、同じように書道を楽しむ人との交流が持てるので、よりモチベーションが上がります。また、出題される課題に取り組みハッシュタグをつけて投稿するようなグループに参加をすると、「何を書いたらいいかわからない」という悩みもなくなり、筆を持つ目的ができます。与えられたお題に向き合うことはもちろんよい練習になりますし、他の方の素晴らしい作品を目にすることで見る目や感性が養われるので、非常におすすめです。

まとめ とにかく書いてみましょう

少しでも「書道やってみようかな」と思われている方は、とにかく最低限の用具をそろえて書いてみましょう!書道は、準備や後片付けが面倒、まとまった時間がないとできない、とイメージされているかもしれませんが、日常生活の隙間時間にでも「ほんの少しだけ筆を持つ」ことは可能です。筆を持ち、真っ白い紙に向き合う落ち着いた時間は、あなたの心を癒して豊かにしてくれるはずです。

タイトルとURLをコピーしました